スマート農業が普及しない5つの理由|導入するためのポイントも解説

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「スマート農業って実際に普及しているの?」
「導入するためのポイントは?」

スマート農業は、農業法人において7割ほど普及しています。一方で導入費用や費用対効果などの問題で、普及が進んでいない部分もあります。本記事では、スマート農業の導入を検討している方に向けて以下を解説します。

・普及の現状
・普及しない5つの理由
・普及における課題
・導入するための4つのポイント
・将来性

スマート農業の導入に利用できる補助金についても一部解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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スマート農業の普及の現状

日本農業法人協会の2022年版農業法人白書を参考にすると、スマート農業を導入している農業法人の割合は以下の通りです。

・稲作:82.3%
・野菜:68.1%
・畜産:73.3%
・果樹:54.1%
・その他:66.7%

以上のように現状7割ほどの農業法人がスマート農業を導入しています。

出典:日本農業法人協会 2022年版農業法人白書

スマート農業が普及しない主な5つの理由

導入が進んでいる一方、以下のような理由によりスマート農業が普及しない現状があります。

1.導入費用が高額である
2.ITリテラシーが求められる
3.通信環境が整っていない
4.メーカーごとの互換性がない場合がある
5.一律で展開することが難しい

それぞれの詳細を解説します。

1.導入費用が高額である


スマート農業で使用される農機は一般的に高額です。例えば以下の通りです。

・高性能コンバイン:約1,100万円
・ロボットトラクター:約1,000万円
・農業用ドローン:約100〜130万円
・高性能田植え機:約300万円

このような農機以外にも、システム設計やカスタマイズなどで追加費用が発生することもあります。また、導入後は定期的なメンテナンス費用も必要です。

このような費用は、中小規模の農家には大きな負担となり、費用対効果も見合わないのが現状です。これらの導入費用は、スマート農業が普及しない原因といえるでしょう。

 

2.ITリテラシーが求められる


スマート農業を導入して有効活用していくには、農業者自身にもITリテラシーが必要です。実際に以下のような技術や知識の取得が求められます。

・ドローンやロボットの操縦
・環境制御システムの設定や調整
・データ解析や画像解析に対する理解

日本の農業者の多くは高齢者です。長年培った農場技術が確立されています。一方で、スマート農業は実験的に取り組まれている段階であることが多いです。このような状況で新たに先端技術を学ぶというのは難しいのが現状です。

当事者が使いこなせるようになるという前提だけでなく、新しくスマート農業の活用を担う人材を育成するまたは採用するという視点も必要でしょう。

 

3.通信環境が整っていない


スマート農業には、通信技術を使った農機やシステムが存在するため通信環境が整っている必要があります。住宅街に近い地域であれば基本的に問題ありません。

しかし、山岳地帯や離島など、一部地域では通信環境が十分に整備されていません。そのような地域ではスマート農業を普及させることは難しいでしょう。

 

4.メーカーごとの互換性がない場合がある


スマート農業で利用されている農機は多くの企業が開発していますが、農機同士の互換性が低い場合があります。新しい技術が開発されても、既存の農機やシステムと連携ができなければ、積極的な導入は難しいです。

各企業バラバラに開発が進んでいる現状では、スマート農業の普及の妨げになる可能性があります。今後は各企業で規格の統一などが必要になるでしょう。

 

5.一律で展開することが難しい


日本の農業の特徴上、スマート農業を一律化することが難しいとされています。具体的な理由は以下の通りです。

・日本は耕作面積の小さい小規模の農家が多い。そのため、自動運転トラクターなどは日本の農家にマッチしないという声がある
・各地域でさまざまな種類の作物を生産しているため、特定の種類の作物には実用的でもほかの作物には活用できないというケースがある

日本の農業は、作物の種類や気候・土壌の条件などが多岐にわたります。これらの理由により、スマート農業の一律展開が難しいのが現状です。スマート農業の普及には、さまざまな種類の作物や多様な気候、土地に対応できる汎用性が求められるでしょう。

農林水産省が掲げるスマート農業を普及における課題

農林水産省のスマート農業普及推進上の課題についてを参考にすると、さまざまな課題が挙げられています。ここでは、スマート農業の普及における課題を一部紹介します。

1.共通の課題


共通の課題は以下の通りです。

 【 技術・経営上の課題 】
・スマート農機を低価格にする必要性
・傾斜地や小さな土地における農作業に関する情報の不足
・都市近郊の小規模集約型農業に適している技術の開発
・ドローン散布によるドリフト問題(農薬が風に乗って飛ばされる現象)
・規模別の費用対効果の明確化
・スマート農業技術により生産性の向上ができる人材育成
・リースやシェアリングの仕組み作り

 【その他の課題】
・ドローンの夜間飛行や自動運転トラクターの公道走行の規制緩和
・スマート農業の導入のための基盤整備
・ドローン散布で使用できる農薬の濃度数の増加
・JAと連携したスマート農業の相談や指導体制の強化
・民間企業との共同開発の体制確立

 

2.水田作における課題


水田作における課題は以下の通りです。

【 技術・経営上の課題 】
・スマート農機によって作業効率は向上するが、労働時間の削減や規模の拡大、収益の高い部門の導入につなげることが困難
・気候の変動に対応できる管理技術
・ほ場ごとの生育や環境、天候などを把握し、生育を予測する技術開発
・リアルタイムで生育を管理し作業に活用できる技術開発
・生育や追肥診断の技術を確立するためのデータの蓄積
・スマート農業の導入後のサポート体制の強化
・大規模での収穫量や品質の安定化
・中山間地域でも活用可能な作業技術やシステムの開発

【その他の課題】
・通信環境の整備
・ほ場の大区画化

 

施設園芸における課題


施設園芸における課題は以下の通りです。

【技術・経営上の課題】
・データに基づいて生育を管理する栽培技術の確立
・クラウドを利用して農業者間でデータを比較するにあたり、クラウド利用料や導入機種が異なること
・メーカーごとに測定する方法やセンサーが異なるためデータの比較が困難
・病害や害虫を早期発見するためのモニタリング技術や防除の省略可技術などの開発
・スマート農機の種類が多く導入費用と導入効果の比較が困難

【その他の課題】
・統合環境制御装置は落雷に弱い
・センサー等が砂埃や湿度、農薬等の影響で故障しやすい

 

3.露地野菜における課題


露地野菜における課題は以下の通りです。

【技術・経営上の課題】
・品目や作型ごとの技術の体系的な開発
・アシストスーツを使用する目的や使用者に合わせた機種の選び方の明確化
・ドローンによる農薬散布などの受託組織の育成

 

4.果樹における課題


果樹における課題は以下の通りです。

【技術・経営上の課題】
・果樹は機械化できる作業が少なく効率化に大きくつながる革新的な技術が少ない
・自動操縦システムやリモコン草刈機の導入費用が高額

【その他の課題】
・小さな面積で分散しているほ場が多いため効果を得られにくい
・ドローンによる農薬散布などの受託組織との連携
・スマート農業の導入を前提とした農道整備

参考:農林水産省 スマート農業普及推進上の課題について

スマート農業を導入するための4つのポイント

スマート農業を導入するための4つのポイントは以下の通りです。

1.補助金を活用する
2.リースやシェアリングを活用する
3.すべての農作業をスマート農業でまかなえるとは思わない
4.農機具を売却して軍資金にする

それぞれの詳細を解説します。

1.補助金を活用する


国や自治体がスマート農業の導入を推進するために補助金制度を用意しています。具体的には、以下のような費用を補助してくれます。

・導入時の費用
・継続的に活用するための維持費
・生産過程で新たに発生する費用

以上のようにスマート農業に関する補助金制度を活用すれば、さまざまな費用を削減できます。スマート農業の補助金制度の詳細については後述します。

 

2.リースやシェアリングを活用する


購入しようとせず、業者からレンタルしたり農家間で共有したりすれば、費用を抑えることができます。実際にスマート農業の導入コストを軽減するために、岡山県で広域シェアリングが実施されています。

この取り組みでは、以下のような効果と課題が挙げられました。

・効果:スマート農機を購入せずに費用を抑えて導入できた
・課題:スケジュール調整や農機が破損した際の対応方法を明確にする必要があった

ドローンやラジコン草刈機などをレンタル商品として、提供している業者も存在します。1日単位でレンタルできる業者もあるため、シェアリングが行えない場合はレンタルを検討してもよいでしょう。

参考:農林水産省:シェアリングによるスマート農業技術の導入コスト低減の取り組み ー 岡山県における広域シェアリング ー

 

3.すべての農作業をスマート農業でまかなえるとは思わない


スマート農業はすべての農作業をまかなえるわけではありません。スマート農業の効果は、農作業の一部を効率化できることです。実際の事例を参考にすると以下の通りです。

・自動操縦田植機などにより田植機の労働力を10人から5人できる
・ほ場水管理システムにより水管理の作業時間を70%以上削減できる
・パワーアシストスーツにより長時間作業の腰痛を軽減できる

以上のようにスマート農業は、農作業を効率化することで、一部の労働力や作業時間、肉体的負担を軽減できます。

スマート農業のメリット・デメリットを知りたい方は、「スマート農業のメリット・デメリットは?現状や事例を知って効果的に取り組もう」を参考にしてください。

 

4.農機具を売却して軍資金にする


スマート農業を本格的に導入する際は、不要になった農機具を売却して軍資金にする方法もあります。あぐり家であれば、プロの整備士が適正価格で査定を行います。古い農機具や壊れた農機具も買取可能です。スマート農業の導入の軍資金として有効活用してください。

スマート農業の将来性

日本はスマート農業の導入が必須と考えられています。日本は少子高齢化の影響により、農業者が減少しており担い手が不足しています。そして、農業者が減少することで、日本の食糧自給率が低くなっている現状があるためです。

スマート農業を導入すれば、農業者が減少する中でも農作業を省略化して、収穫量や品質を向上または均一化させることが可能です。さらに農業技術が未熟な方でも、作業の標準化を図ることができます。

2019年度から全国217地区で、スマート農業実証プロジェクトというスマート農業を加速させる取り組みが実施されています。課題はありますが、今後もスマート農業の導入は進んでいくと考えられるでしょう。

スマート農業の導入に利用できる補助金

スマート農業には、導入を支援するために国から以下のような補助金制度が用意されています。

・みどりの食料システム戦略推進総合対策
・農地利用効率化等支援交付金
・強い農業づくり総合支援交付金
・農業支援サービス事業緊急拡大支援対策
・産地生産基盤パワーアップ事業
・担い手確保・経営強化支援対策

補助金には、それぞれに申請要件や申請期限、補助対象、補助割合が設けられています。補助金の募集状況を知りたい方は、農林水産省の補助事業参加者の公募を参考にしてください。

スマート農業を導入する際は入念な営農計画を立てよう

スマート農業の導入に成功すれば、労働力や作業時間、肉体的負担の軽減が期待できます。一方、期待したような効果が得られない場合もあります。

スマート農業の導入を成功させるには、入念な営農計画を立てることが大切です。特に導入費用や導入後の維持費などは要注意です。これらの費用を軽減する方法として、使わなくなった農機具をできるだけ高く売却する方法があります。

あぐり家では農機具を高価買取中です。買い取りについてLINEから気軽に相談できます。ぜひ一度お問い合わせください。

買取強化宣言

この記事を書いた人

株式会社K・ライズホールディングス 営業本部
桑原 翔
(Kuwahara Tsubasa)

1987年4月生まれ、趣味はパソコンいじりと音楽全般。専門商社の営業職とSaaS(クラウド)のカスタマーサクセスやマーケティング業務を経て、K・ライズホールディングスに入社。営業本部所属で、主に「國丸」「あぐり家」「RiZ」を担当し、各事業のサイトのディレクションやオンラインマーケティングのほか、オフラインマーケティングを担当。

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