【要注意】ジャンボタニシや卵の駆除方法|毒の症状についても解説

害虫害獣対策
ジャンボタニシや卵の駆除方法

「ジャンボタニシとその卵はどう駆除すれば良い?」
「毒に触れてしまうとどんな症状が出るの?」


ジャンボタニシ(以下、本貝)は、稲を食い荒らす食害を引き起こします。卵には毒性があるため素手で触れずに駆除しなければなりません。本記事では、水稲農家の方に向けて以下を解説します。

・生態と農業被害
・卵の特徴と毒症状
・基本的な駆除方法
・農業における駆除方法8選
・駆除作業に活用できる補助金

食害が発生している水稲農家様はぜひ参考にしてください。

ジャンボタニシの生態と農業被害

本貝は食用として輸入された大型の巻き貝です。かつては日本各地に養殖場がありましたが、現在は商品価値が無くなり廃業してしまいました。残った個体は野生化して日本各地で生息し、田植え後3〜4週間程度までの稲を食い荒らす食害を引き起こしています。

本貝には以下のような特徴があります。

・成長すると殻高2~7cmほどの大きさになる
・色は黄褐色から黒褐色である
・らせん部分が短く、殻径と殻高の長さほとんど同じである
・蓋を閉じると半年以上水がない状態で生き残る
・14℃を下回ると活動しなくなるが冬を越せる
・寒すぎると死滅するが0℃ほどであれば1カ月は生き残る

本貝は濃いピンク色の卵の塊を産みます。濃いピンク色の卵の塊があれば、生息していると判断できます。産卵期間は4月から10月で、多くなるのは5月下旬から9月下旬です。

ジャンボタニシの卵の特徴と毒症状

卵には神経毒が含まれており、寄生虫(広東住血線虫)がいる場合もあります。そのため、素手で触れてはいけません。万が一素手で触れて、神経毒や寄生虫が体内に入ってしまうと、頭痛や発熱、嘔吐などの症状を引き起こす恐れがあります。

卵には以下のような特徴があります。

・濃いピンク色
・200〜300個ほどの卵の塊
・卵の塊の大きさは長さ3cmで幅1.5cmほど
・ふ化直前は黒から白っぽい色

貝自体にも寄生虫が潜んでいる可能性があるため、素手で触れてはいけません。

ジャンボタニシと卵の基本的な駆除方法

卵は水の中でふ化できません。水の中に落としやすい場所に卵を産むため、トングなどで払い落とせば駆除できます。ふ化直前であると水の中でもふ化できるため、その際は卵を破壊する必要があります。

貝を捕獲した際は以下のような方法で処分してください。

・焼却するか埋める
・埋める際は十分な深さを掘る
・可燃ゴミとして処分するのであればビニール袋で二重にする、または十分に乾燥させて捨てる

駆除作業の際は手袋などを着用したうえで、トングなどを活用してください。万が一素手で触れた際は、流水と石鹸でしっかりと洗ってください。

農業におけるジャンボタニシの駆除方法8選

ここからは8つの駆除方法を解説します。

1.薬剤を散布する
2.水深を4cm以下にして摂食行動を抑える
3.トラップで捕まえて駆除する
4.水路からの侵入を防ぐ
5.石灰窒素により駆除する
6.農機具により潰す
7.地域全体にまん延させない
8.1年間水田農業を行わない

具体的な駆除方法を知りたい方は参考にしてください。

1.薬剤を散布する


メタアルデヒド粒剤などの薬剤を撒くことで駆除できます。具体的な方法は以下の通りです。

【薬剤を使った駆除】
・食害が発生する前に撒く
・水を張ったあとに発生状況に合わせて撒く
・撒いたあとは3日ほど水を張り続ける

【注意点】
・魚等に被害を及ぼさないために7日ほどは水を水路に流さない
・薬剤の使用方法や量、回数などを守る
・水が漏れている水田では行わない

 

2.水の深さを4cm以下にして摂食行動を抑える


本貝は水の中でなければ行動が制限されます。そのため、水の深さを4cm以下にすれば食害の多くを防げます。水の深さの維持は、苗を植えてから3週間は継続してください。

ほ場が平らでないと深い部分で食害が発生します。冬はレーザーレベラーなどを活用して、できるだけ平らにしておきましょう。雨により水が増えると食害が発生しやすくなり、水が少なすぎると生育を妨げる恐れがあります。水の深さは適宜調整することが重要です。

 

3.トラップで捕まえて駆除する


ほ場や水路にトラップを設置して捕獲する方法です。具体的な方法は以下の通りです。

【トラップによる捕獲】
1.効果の高い混ぜ餌(沈む鯉餌、米ぬか、米こうじを同量混ぜる)を用意する
2.ほ場に水を入れて貝を活性化させる
3.ネット等の中に混ぜ餌を入れる
4.魚用のかご網型トラップに混ぜ餌を入れる
5.水深の深い場所に数個設置する
6.集まった貝を定期的に駆除して餌も補充する

【注意点】
・餌は腐りやすいため適宜交換する
・効果を高めるなら大きなトラップを用意する
・すべてを駆除するのは困難であるため他の対策も進める

貝の処分方法は「基本的な駆除方法」を参考にしてください。

 

4.水路からの侵入を防ぐ


水路の取排水口にネット等を設置することで、貝の侵入を防ぐことができます。具体的な方法は以下の通りです。

【ネット等による侵入防止】
・網目が9mmほどのネット等を取排水口に設置する
・設置する期間は入水から田植え後3週間までが効果的である
・ネット等に付着した貝は潰して確実に死滅させる

【注意点】
・網目が大きすぎると貝がすり抜ける、反対に細かすぎると枯れ草などで詰まるため注意する
・目詰まりはネットをU字場に設置すると軽減できる

 

5.石灰窒素により駆除する


石灰窒素は水と混ぜると本貝を駆除できる毒性が生成されます。具体的な方法は以下の通りです。

【石灰窒素による駆除】
1.水温が17℃を超える際に3〜4cmの水を張る
2.1〜4日ほど放置して貝の動きをよくする
3.石灰窒素20~30㎏/10aを全体に撒いたあと水を張る
4.そのまま3〜4日水位を保ち貝を駆除する

【注意点】
・石灰窒素の使用方法や量、回数などを守る
・石灰窒素は魚にも毒性があるため水路には流さないでほ場に吸収させる
・貝の活性が低いと効果的ではないため水温が15℃以下では行わない

石灰窒素20〜30kg/10aは、窒素にすると4〜6kg/10a相当になります。窒素成分が含まれる肥料を撒く際は量を調整してください。

 

農機具により潰す


冬期のうちにロータリーなどの農機具で貝を潰して駆除する方法です。具体的な方法は以下の通りです。

【ロータリーによる駆除】
・効果を高めるためにほ場が硬いときに耕うんする
・トラクターは低速にしてロータリーの回転数を上げる
・1〜2月の寒い時期に実施することで、潰せなかったが掘り起こされた貝が寒さにより死滅する

【注意点】
・ほ場により適切な耕うん深度は異なり、深さを間違えると本貝を土の奥に押し込んでしまう。ほ場ごとに適切な深度を確認する必要がある
・小さい個体はトラクターの爪やアタッチメントなどに付着することがある。他のほ場に持ち込まないためにも実施後はよく洗う
・小さい個体には効果が低いためその他の対策も実施する

 

7.地域全体にまん延させない


水路の泥の中に潜って冬を越す個体もいます。重機により水路の泥上げをしておくことで、寒さにより死滅させることができます。具体的な方法は以下の通りです。

【水路の泥上げ】
・掘り上げた泥は寒風にさらすために平たく広げる
・できるだけ地域全体で実施するようにする

【注意点】
・地域全体で実施しないと効果が低い
・ショベルカーなどの重機が必要である

他のほ場に広げないためには、農機具に付いた泥を落とすことも大切です。

 

8.1年間水田農業を行わない


本貝は水がないと土の中に潜り込んで休止状態になります。1年ほどで多くは死滅するため、個体数を減らすことができます。ただし、3年以上生き残る個体も居るため根絶やしにはできません。

水田と畑作を1年ごとに行う方法をとっている農家もあります。水田農業を行う際に、水路から侵入されると1年ごとに農業内容を変更した効果が低下します。水路からの侵入防止対策も行いましょう。

ジャンボタニシの駆除作業に活用できる補助金

自治体によっては、駆除作業に活用できる補助金を用意してくれています。一例を挙げると以下のことに対して補助金を出してくれます。

・取排水口に設置するネット等または必要な資材にかかる費用
・捕獲器やかご網型トラップ、誘引剤にかかる費用
・駆除に使う薬剤の購入費用

補助を受けるには要件を満たす必要があります。要件はお住まいの自治体により異なります。申請書や取組水田一覧表などの必要な書類も自治体によって異なるため、ホームページなどから合わせて確認してください。

ジャンボタニシや卵を駆除して食害を防ごう

本貝は田植え後3〜4カ月までの稲を食い荒らす食害を引き起こします。貝自体に健康被害をもたらす寄生虫が潜んでいる恐れがあり、卵にも神経毒が含まれています。そのため、素手で触れないで適切に駆除する必要があります。

薬剤を撒く方法のほかに、水の深さを4cm以下にする対策が効果的です。水の深さを4cm以下にしても、ほ場が平らでなければ効果が下がります。田植え前に、レーザーレベラーなどの農機具で丁寧にならしておきましょう。レーザーレベラーなどの農機具の買い換えを検討中であれば、あぐり家をぜひご活用ください。

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