収穫した作物の品質をキープしながら保管するために、保冷庫が活躍します。家庭用の冷蔵庫とは仕様が異なり、購入の際のポイントも異なります。
この記事では、業務用保冷庫の種類や選び方、人気メーカーまで徹底解説します。買い替えや不要になった保冷庫の処分を検討中の人に役立つ中古買取のポイントもあるので、ぜひ参考にしてください。
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保冷庫と冷蔵庫・予冷庫の違いとは
まず保冷庫と冷蔵庫の違いは、その役割にあります。その名の通り「温度を保つ」のが保冷庫で「冷やして貯蔵する」のが冷蔵庫です。冷蔵庫の温度は2~5℃と定められているのに対して、保冷庫は製品により異なりますが、2~20℃程度に設定できます。
予冷庫は冷蔵庫や保冷庫と比べ、規模が大きく異なります。予冷庫は機械ではなく倉庫のように広いスペースを指します。収穫物の鮮度を保つために、出荷前に冷風冷却や真空冷却といった方法で一気に冷やす施設です。
一般的には、収穫した作物の保管には「保冷庫」が適切でしょう。
業務用と家庭用の保冷庫の違いは?
保冷庫と呼ばれるもののなかには業務用と家庭用がありますが、家庭用の保冷庫は、飲み物などの適温を維持するのが目的です。業務用のような細かな温度設定はできないものがほとんどです。
飲みやすい温度をキープできれば十分な家庭用に対して、作物の品質維持のために適切な温度管理をする業務用では、仕様が異なるのも当然とも言えます。
業務用保冷庫の種類【店舗・農業・医療】
この記事では農業で用いる業務用保冷庫を中心に解説していきますが、実は業務用保冷庫といっても使用する業種によって必要な仕様が異なります。店舗、農業、医療の3種類に分類して、業務用保冷庫の特徴を紹介していきます。
店舗用の保冷庫は解凍・保冷に使われる
保冷庫の多くを占める店舗用の保冷庫は、保冷というより冷蔵で用いるものが多く見られます。目的は大きくふたつに分けられ、要冷蔵品を取り扱う物販店舗でのショーケースを兼ねたものと、飲食店の厨房に置かれる食品保存用のものがあります。
冷蔵庫ではなく保冷庫といえるのは、厨房で使われる「解凍庫」「解凍保冷庫」と呼ばれるタイプで、食材へのダメージを抑えながら解凍や粗熱取り、解凍後の食材の温度を設定し維持できます。
農業用の保冷庫は作物の鮮度を保つ
農業用の保冷庫は、主に玄米や野菜に用いられます。「低温貯蔵庫」とも呼ばれ、収穫した作物に適した温度で保存することで、鮮度を保てます。玄米と野菜では保存に適した温度や湿度が異なるため、作物によって温度や湿度の設定を変えなくてはなりません。
サイズはもちろん、温度や湿度の切り替え、左右で異なる環境での保管が可能などといった機能でコストが変動するため、必要なスペックを見極める必要があります。
医療用の保冷庫は薬品の保管に
保冷庫は、食品に関わる業界だけでなく医療や研究機関の製薬会社といった場所でも使われます。保冷庫で保管するワクチンや薬品は、精密な温度管理が必要です。そのため、医療用の保冷庫は精度の高い温度制御が可能となっています。
家庭用冷蔵庫によくある低温凍結のリスクを回避しながら薬品を保存できるほか、持ち出しを防ぐためのアラームランプやブザーも、医療用ならではの機能といえます。
農業用保冷庫の選び方
ここからは農業用の保冷庫について、自分にあった商品を選ぶためのポイントを解説します。
作物ごとに適した温度・湿度【玄米・野菜】
作物の鮮度を保つために使う保冷庫ですが、保管する作物に合わせて温度はもちろん、湿度も管理する必要があります。特に、穀物と野菜では適した環境が大きく異なります。
玄米は水分を少なく保つことが重要で、保管条件は温度13℃前後、湿度60~70%程度が必要です。一方、野菜の場合は品目にもよりますが、みずみずしさを保つために75%以上の湿度が必要です。
野菜の場合は、品目ごとに適した温度と湿度の設定が可能かどうかを必ず確認しましょう。ここでは所蔵条件の一例を紹介します。
● さつまいも:温度13~15℃、湿度85~90%
● 玉ねぎ:温度0℃、湿度65~70%
● トマト(完熟):温度8~10℃、湿度85~90%
● にんにく:温度-1~0℃、湿度65~70%
● ピーマン:温度7~10℃、湿度95~98%
(出典)農研機構「野菜の最適貯蔵条件」
収穫量や保管場所に合わせた用量【小型・大型】
業務用の保冷庫と聞くと大型のイメージがありますが、収穫量や保管場所に合わせて様々な大きさを選ぶことができます。
玄米30kgを10袋、農業用コンテナ6個分が収納できるコンパクトなものから、2坪の広さで玄米200袋、農業用コンテナ144個が入るものまで幅広い選択肢があります。狭いスペースで効率良く保管できる背の高いタイプもあるので、保管量とスペースに合わせて選びましょう。
異なる作物を同時保管できる保冷庫も
農家によっては季節によって異なる作物を育てることや、米と野菜を同時に生産する場合もあります。また、収穫物だけではなく飲み物など別のものも一緒に保存したいと考えることもあるでしょう。
保冷庫は、玄米専用のものや、玄米モードと野菜モードが切り替えができるもの、さらには右と左で異なる環境での保管ができるタイプもあります。機能が充実するほどコストも上がりますが、機能は追加できないため後悔しないように選びましょう。
農業用保冷庫のメーカー別おすすめ5選
保冷庫の特徴や選び方が分かったら、いよいよ製品選びです。製品を探すときや選ぶときの参考に、おすすめのメーカーを紹介します。クボタやイセキといった有名農機メーカーのほか、これから紹介する保冷庫の主要メーカーから選ぶのも方法のひとつです。
消火器のノウハウを活かした丸山製作所の「スーパー玄米保冷庫」
丸山製作所は、消火器の製造からはじまり、保冷庫は環境衛生機器分野で高い評価を受けています。抗菌、防カビ、脱臭効果のある光触媒が搭載されているのが最大の特長です。
玄米と野菜の両方に対応し、切り替えができる「スーパー玄米保冷庫」が人気ですが、ほかにも玄米に特化したリーズナブルな玄米専用シリーズ、広々としたプレハブ型で予冷もできる「プレハブ玄米・強冷保冷庫」と幅広いラインナップです。
0.5坪から対応できるオーダーメイド型もあるので、ぴったりの製品が見つからないときは相談もできます。
こだわりが詰まったエムケー精工の「味の新鮮蔵」
エムケー精工のものづくりのキーワードは「美・食・住」。生活にフィットした製品であるとともに、デザインの美しさにもこだわっているのが特徴です。
保冷庫「味の新鮮蔵」シリーズは、玄米やさまざまな品種の野菜に対応した温度・湿度設定ができます。いも類などを低温障害から守る加温コースがあるタイプも選べます。充実の機能で作物の鮮度を維持できる保冷庫です。
見た目のデザインにもこだわりが反映されています。日本の農家は住宅と農地が近いことを考慮し、自宅に並べても悪目立ちしないスタイリッシュなデザインで、住環境に美しく馴染みます。
耐久性と機能性に優れたアルインコの「米っとさん」
アルインコは、建設用の足場や仮設機材をはじめ、アルミ型材、フィットネス関連製品、無線機など幅広く製造を行っています。建設機材の製造ノウハウを活かした耐久性の高い製品が魅力です。
保冷庫も長持ちすることから中古市場でも支持されています。人気の高い玄米専用低温貯蔵庫「米っとさん」のほかに「玄米・野菜低温貯蔵庫」もあります。細かい温度設定や省エネecoモードなど、充実した性能も愛用者が多い理由のひとつです。
玄米専用、玄米・野菜用ともにサイズ展開が充実しているので、収穫量や保管スペースに合わせた製品が選べるでしょう。
日本の食と環境を想う静岡製機の「さいこ」
静岡製機は、農業用機器、食品分析機、環境機器の製造販売を行うメーカーです。日本の農作物の品質向上や自然環境を守る企業活動を行っています。
玄米、野菜の低温貯蔵庫「さいこ」シリーズも、作物の美味しさを守るために静岡製機の技術力が活かされた製品のひとつです。
品質保持を優先した「食味モード」と省エネ運転の「玄米節電ecoモード」が選べるのが特徴です。そのほか、さつまいもなどの保存や野菜の凍結防止のための加温ヒーター「加温ちゃん」がオプションとして販売されていたりと、充実した機能が盛り込まれています。
マキタの保冷庫は持ち運び用「充電式保冷温庫」のみ
マキタは、米や野菜を保管するための倉庫型の保冷庫の製造は残念ながら行っていません。
マキタで作られている「充電式保冷温庫」は、家庭用の保冷庫のように飲料などを適温に保つために使われるタイプです。充電式工具の有名メーカーというだけあって、コードレスで持ち運びができるのが特長です。
炎天下での農作業では冷えた飲み物や氷を入れ、冬季の作業時は温かい飲み物や食べ物を入れることで作業の中断時間を減らせます。
保冷庫の中古買取・購入時に知っておきたいポイント
最後に、保冷庫の中古での購入や買い替え、不要になった保冷庫の買取を検討するにあたって知っておきたいポイントを解説します。
中古買取・販売価格の目安
中古農機具の買取・販売を行っているあぐり家における、2023年5月時点での中古保冷庫の平均販売価格は約93,000円。保冷庫のなかでは中型のタイプが6万~15万円で販売されています。
保冷庫は新品だと玄米専用であっても20〜30万円程度はするため、中古購入で多少コストを抑えられます。保冷庫が不要になった際も、単に処分してしまう前に中古販売店での売却査定を検討するとよいでしょう。
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農業用保冷庫の耐用年数は新品で7年
10万円以上の農機具や設備で1年以上使用するものは、購入費用を定められた耐用年数で割って、減価償却資産という形で毎年経費計上できます。
農業用の設備に関しては、基本は一律で7年です。新品で保冷庫を購入した場合は、購入費用を7年分に割って償却していきます。なお、中古で買った場合は計算方法がありますのでご注意ください。
あくまで経費計上するうえでの年数なので実際の寿命とは異なりますが、保冷庫を買い替えるタイミングの参考にすると良いでしょう。
保冷庫の中古買取・購入はあぐり家へ
保冷庫の新規購入や買い替えで不要になった保冷庫を手放す際は、農機具ランドあぐり家へご相談ください。元農機具修理・販売店の実績と、業界のネットワークを活用し、価値を見極めた適正価格での買取や販売を行っています。
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